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のぞみのブログ

いままで通り、書いていきます。

【ちょっとネタバレしてます】最近見た映画【ご注意を】

ということで早速書こうと思うんですけど、まずは最近見た映画について。ふと見たい映画があったことを思い出してツタヤに直行して借りてみると、無意識なのか、どことなく似た映画を借りてきてました。これから映画の話していくんですけどたぶんネタバレするのでご注意を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一本目は『saw2』。

あのsawです。グロイと話題の。1は実は実際に見てないんですけど、ネットでネタバレを見たので結末は知ってました。いやしかしネタバレ文章を読んでもあの衝撃はすごかった……。なので2から見ることに。

 

見る前は、たぶんグロさに耐えられず途中で見るのやめるだろうなぁ、ぐらいに思ってましたけど、意外に全部見通せました。グロ耐性ができてたんでしょうか。でもやっぱりキツイ場面も。一番キツイなぁと思ったのは、針地獄に人がつき落とされた時です。神経ガスの解毒剤を手に入れるために、針のついた注射器で埋め尽くされている穴の中から、本物の解毒剤と脱出口の鍵の入っている注射器を探すというもの。当然その場の誰も穴に入りたがらないんですけど、脱出口は制限時間内に鍵で開けないと二度と開かなくなってしまうようになっています。そこで埒が明かないと思った男が女を穴に突き落としてしまうんです。悲鳴を上げる女。体中に張りが突き刺さる。女も覚悟を決めて、激痛に耐えながら針の山をかき分けます。やっとのことで正解の注射器を見つけますが、あと少しの所で脱出口は閉ざされてしまいます。リアル針地獄に潜ったにも関わらず、結局進展はなし……。痛さもそうですけど虚しさもキツイです。

 

映画全体を見てみると、むしろグロイ拷問はストーリーのテンポを保つ補助みたいなもので、メインはやはりストーリーだなと思いました。劇中に出てくるジグソウの「人間の本質を確かめたい」の言葉がこの映画、というかsawシリーズ全体に通じるテーマに思えます。人間はどこまで生きようとするのか。たとえ火の中でも、目玉をえぐれと言われても、針地獄に飛び込めと言われても(これ全部マジで映画の中で実行されます)、生きようとするか。極限状態でそれを試すジグソウの考えは少し分かる気はします。僕も人間の本質を見てみたいですけど、ジグソウほど生に限定するのはやり過ぎな気が。確かに生きるために人を蹴落とすのも人間ですけど、なんでもない日常で(演戯にしろ)助け合うのも人間だと思うので、ジグソウのように生に関することだけを本質に限定したくはないです。

 

二本目は『エクスペリメント』。実際にあった事件を元にした映画です。その事件はスタンフォード大学で行われた刑務所を模倣した実験で、その結果2名の死者を出してしまったことで今は心理学界ではこの実験は禁止されているそうです。

 

こちらもsawに似て極限状態が舞台の作品。ちょっとストーリーを書きます。新聞に載せられていた実験の被験者募集記事を見て集まった男たち。彼らは刑務所を模した建物に連れて行かれ、そこで看守と囚人に分けられる。そこで二週間、実際の刑務所のように過ごすよう命じられる。ルールは簡単なもので、暴力行為の禁止、囚人は許可なく看守に触れてはいけない、などリアルの刑務所を再現するためのもので、このルールを守って二週間過ごせば報酬がもらえる。ルール違反が発覚した場合は建物内のブザーが鳴り実験は中止される。かくして実験は始まったが……。

 

意外なのかやっぱりなのか、看守はどんどん囚人に対してひどい仕打ちをしていくようになります。実験開始前は「楽に報酬を受け取ろうぜ」と和気あいあいとしてた被験者たちですけど、看守と囚人に分けられるだけで、どんどん看守と囚人らしくなっていきます。暴力行為禁止とされてますけど、そのスレスレの屈辱行為を囚人に与えてもいきます。

仕舞にはもろ暴力を振るってしまうんですけど、なぜかブザーは鳴らない。それをいいことに看守はさらに暴力を加えていく。ブザーが鳴らないことで看守陣はどこか許された気になって、暴力に歯止めがきかなくなっていくのは怖かったです。ブザーではなく、自らの倫理観で「暴力をやめよう」と言う者が少なかったのが印象的です(看守の中には一人「暴力やめよう」と言い出した人もいたんですけど、彼は看守にリンチされて口封じに)。

こんな状況なので(まぁお決まりと言うか)、囚人たちは暴動を起こし看守に反抗します。もう収拾がつかないほどもみくちゃに殴り合いになってしまうんですけど、そこで遂にブザーが鳴ります。そして建物の出口のシャッターがゆっくりと上がっていく。

このラストシーンはけっこうお気に入りです。正直ここまでのストーリーは刑務所を舞台にしたものならまぁベタなストーリーかな、という感じだったんですけど、『エクスペリメント』が違うのは、それが全部実験、いわばうそであるということ。当事者たちもそれを最初はわかってたはずなのに、徐々に本物の看守と囚人のようになっていっていしまう。最終的には殴り合いになるけど、そこで実験が終了してしまう。

模擬刑務所から解放された被験者たちは、これ以上ない虚無感に襲われた顔をしてます。さっきまでマジの殴り合いをしていたのに、急に「はいおしまい~」と、舞台の幕を閉じられた感じです。あの殴り合いはなんだったのか、あの時の自分はほんとに自分だったのか? 自分の二面性をまざまざと見せつけられた被験者たちは、ぼんやりしたままバスに乗せられてそれぞれの家に帰っていきます。

というふうに、これもまた人間の本質を試す映画でした。観終わった後、実際の実験はどんな感じだったのか気になってネットで調べてみました。映画はやはりエンタメなのでちょっと話盛ってるところあるだろうな、と思ってたんですけど……調べてみると実際の件の方が映画以上にえぐかったです。映画の方が可愛いもんでした。

 

実際の実験だと、まず被験者たちは自宅からパトカーで刑務所まで連行されます。リアルな状況を求めてここまでする徹底ぶり。さらに被験者たちは綿の一帳羅に頭にストッキングを被せられます。もはや実際の刑務所を超えた囚人への侮辱行為です。看守側は囚人たちの反抗を阻止するために、巧みな手段で囚人間の仲間割れも引き起こします。

しかも、これが一番怖いかもしれませんが、実験の責任者であるジンバルド博士は看守の虐待行為を黙認していたのです。ルール違反をしているのは明確なはずが、その状況に飲まれて博士自身も歯止めがきかなくなっていたそうです。

こちらが参考ページ→ http://x51.org/x/06/04/2439.php

 

三本目は『ジョニーは戦場へ行った』。このタイトルは最初、ブルーハーツの「ラインを超えて」という曲の歌詞で知りました。ツタヤをぶらぶらしてた時に偶然同じ名前の映画があることを知って、見ようと思ってました。

舞台は第一次世界大戦の時代。ジョニーは戦争に徴兵されるが、そこで爆撃を受けて目、鼻、口、耳、四肢を失ってしまう。しかし脳と心臓は機能しているので、思考と触覚のみを残されたままジョニーは生き続けることになる。

映画では四肢を失ったジョニーを軍部が看病するシーンと、ジョニーが自らの記憶を辿るシーンが交互に表れます。軍部はもはやジョニーに思考能力が残されていないと判断して、ひたすら彼を延命させることだけをします(映画内では明確に言われてないんですけど、たぶんジョニーのような凄惨な被害を生み出してしまったことを隠すために、彼が自然に死ぬことを待っていたんじゃないかと思います)。ジョニーは看病されるシーンの中で声だけで出演します。考えていることがそのまま声で表現されてます。最初は自分の四肢や顔のほとんどを失っていることに気付かず、軍が自分の身体を解体しようとしていると思うんですが、徐々に爆撃でそれを失ったことが分かっていきます。ただただ生き続けることしかできないジョニーは次第に死ぬことを望んでいく。

 

これも前の二つと同じく極限状態のお話ですね。こちらは人為的にそういう状況に置かれたというよりは、もっと規模の広い戦争によって引き起こされた極限状態です。劇中で看護師が軍部に向かって「あなたたちが彼を生み出したのよ」の言葉は象徴的だと思います。反戦のメッセージももちろんですけど、思考と触覚のみを残されたジョニーの絶望感も僕は印象的です。できることと言えば記憶を思い出したり、かすかな触覚から自分の置かれている状況を想像するくらい。ジョニーの視点に限ってこの映画を見れば、デカルトの水槽の脳、もしくは胡蝶の夢を地で行くような作品です。あるのはジョニーの思考のみ。状況を想像すると上述しましたけど、実際のシーンではジョニーはちゃんと四肢も顔も完全にある状態で想像の中に表れています。現実ではそうではないんですけど、想像の中ではまだジョニーは四肢を失う前の身体だと自分を思っているわけです。この現実と想像のずれが生々しく、ジョニーの救いのない世界を表しています。

 

 

というわけで、最近見た三つの映画を紹介しました。無意識にだと思うんですけど、どれも極限状態がテーマの作品でした。人間のギリギリの姿、普段は見れない人の悪意、そこで必死にもがく人々、などなどえぐいけど自分に重ねて考えざるを得ない話なので、興味湧いた人は見てみるといいと思います。見たことある人は感想をコメントでくれたらうれしいです。 みんなどんなふうにこれらの映画を見たのか知りたいので。

 

 

※実はもうひとつ映画を借りてました。『パルプフィクション』。これは極限状態がテーマじゃないんですけど、あのタランティーノ監督の名を知らしめた名作と言われている作品です。映画界でおそらく初めて時系列シャッフルを取り入れた作品とも言われています(この作品で時系列シャッフルの手法がメジャーになったとも)。内容はというと……四つの話がそれぞれ絡み合う作品で、ちょっと簡単には説明できません。感想としては、時系列シャッフルにはお決まりの「あっ、ここでそれが繋がるのか!」の快感はありましたけど、そこまでおもしろいとは思いませんでした。どちらかと言うと玄人向けの映画だと思います。細かいところに着目してみると意外な発見もあるんでしょうけど、あんまり僕にはわかりませんでした。ただ好きな登場人物がいて、その人はマフィアの一員なんですけど、クリスチャンの気がある人なんです。だから毎回誰かを殺す前に、聖書のある一節を暗唱してから殺します。「聖書を読む悪役」ってけっこういいワルだなぁと感じました。正義と悪が入り混じったような怖さが絶妙です。